環境省公表の『循環経済工程表 2050年の循環型社会に向けて』をどうみるか!?
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  • ✎IRIEP事務局
  • 2022/09/30

環境省は、第四次循環型社会形成推進基本計画の進捗状況の第2回点検結果として『循環経済工程表 2050年の循環型社会に向けて』を作成し、9/6に公表しました。

新聞やWebメディアでは「循環経済80兆円」「2030年に80兆円市場」などと紹介されており、その注目の高さがうかがえます。そこで、本工程表で持続可能な社会を実現するため循環型社会の方向性や工程表が示す目標、評価基準などを見てみたいと思います。

まず最初に示されているのが「II. 循環型社会形成に向けた進捗状況」です。循環利用量が2014年以降減少していることについて、非金属鉱物系の循環利用量の減少によって、入口側の循環利用率も出口側の循環利用率も減少傾向と記されています(工程表5頁)。

Ⅱ-1 我が国の物質フローの推計結果

Ⅱ-2 循環型社会の全体像に関する指標からみた循環型社会形成に向けた進捗状況

次にⅢ-1では、指標からみる進捗状況が示されています。主なところを見てみると、多くで検討が必要、目標達成が厳しいとあります。

Ⅲ-1-1. ライフサイクル全体の徹底的な資源循環

Ⅲ-1-2. 持続可能な社会づくりとの統合的取組

Ⅲ-1-3. 多種多様な地域循環共生圏形成による地域活性化

そして、もっとも注目したいところが工程表のⅢ-3です。ここに今後の方向性が示されています。ここで、環境的側面、経済的側面、社会的側面3つが示されていますが、目標値が示されているのは「2030年までに、循環経済関連ビジネスの市場規模を現在の約50 兆円から80 兆円以上にすることを目指す」だけです。しかし、この目標は、2021年6月に閣議決定された『成長戦略フォローアップ工程表』の再掲です。

1. 循環経済の役割と2050 年を見据えた目指すべき方向性

「2. 素材毎の方向性」で主なところをみると、どのように実現させるのか、目標値がないものが多くみられます。また、熱回収を推進する方向で気になる記載も見られます。

  • ①プラスチック・廃油
    • ・焼却・最終処分される廃プラスチック量の大幅削減
    • ・プラスチックや廃油の熱エネルギーを徹底的に回収
  • ②ベースメタル
    • ・脱炭素社会・持続可能な社会の構築:
       実現に必要な金属の確保
    • ・都市鉱山の有効活用:
       あらゆる使用済製品等からの金属回収を徹底
    • ・使用済小型家電等の回収:
       消費者・住民への周知や利便性の高い回収方法の提供等
       分別・回収に幅広い国民の参画

「3. 製品毎の方向性」の全体の方向性では、リユースやリペアが挙げられており、政策における方向性の具体化を期待したいところです。

  • ●徹底的な資源循環フローへの最適化
    • ・資源確保と生産、流通、使用、廃棄のライフサイクル全体
    • ・修繕・交換・分解・分別・アップデート等の容易な環境配慮設計
    • ・再生可能資源利用の促進
    • ・リユース、リペア、メンテナンス、シェアリング、サブスクリプションなどのストックの有効活用
    • ・循環経済関連の新たなビジネスモデルの推進

そして、気になるのが「4. 循環経済関連ビジネス促進の方向性」です。すなわち、50兆円から80兆円にするための方策は、EUのサーキュラーエコノミーアクションプランからすると数値目標が明確ではなく、工程表からみると実現するための具体的な方法はみえず、心もとない感じがします。

今後の国の政策には期待を持って注視していく必要があります。

ご注意:掲載している工程表に関する記載内容は、『循環経済工程表 2050年の循環型社会に向けて』をもとに独自に概略(参考資料)としてまとめたものです。内容に誤謬や齟齬等がある可能性がありますので利用される場合は、自己の責任においてご利用ください。