国のパブコメ「家電リサイクル制度の施行状況の評価・検討に関する報告書(案)」に対する意見」に対する意見を提出しました。
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  • ✎IRIEP事務局
  • 2022/04/12

IRIEPは、国が実施するパブリックコメント「家電リサイクル制度の施行状況の評価・検討に関する報告書(案)」に対する意見を提出しました。

意見1 適正なリユースの促進
 リユースの促進に対する調査が小売業者のみというのは大きな情報の損失ではないか。小売業者21社のみの情報では、リユースに対する意識、関心があまりないと捉えかねない。市町村や消費者、地域に根差した修理業者など幅広く調査し、その結果を十分に精査し、評価・検討のための情報とすべき。

意見2 サーキュラーエコノミーと再商品化率・カーボンニュートラルについてその1
 評価・検討で出された意見に対して内容が非常に簡素となっており、内容の修正を求める。特にサーキュラーエコノミー、カーボンニュートラルを取り上げているにも関わらず、それに資するリユースが漏れているのは評価・検討における失誤といえる。これは、意図的にそうしたのではないかとさえ思えなくもない。サーキュラーエコノミーをリサイクルに偏らせることなく、特に大塚委員が述べていた「修理する権利」、鬼沢委員の「修理の充実」は報告書に掲載すべき。

意見3 サーキュラーエコノミーと再商品化率・カーボンニュートラルについてその2
 多くの委員から出された「リユース」「修理する権利」「修理の充実」が具体的な施策として本報告書に記載されていないのは問題である。委員の発言の趣旨を汲み取り、具体的な施策にすべきである。また、本案では「国は、適正な仕分けに基づくリユースの促進(以下略)」を具体的な施策に取り上げており、消費者が家電4品目の買い替えの際に直ちに家電リサイクル券を発行するのではなく、再使用(リユース)の判断を使用年数、家電の状態、部品交換に基づく再使用の可能性、内外のリユース市場、製品の価値、製品のLCA評価等を考慮するなど、柔軟な検討を実施していくべきである。また、家電リサイクル券を発行した場合でも、自動車リサイクル法のリサイクル預託金と類似したしくみを整え、リサイクル券を発行後回収した家電4品目を選別し、状態に応じて部品交換等を行うなど社会情勢に合わせた循環経済の体制の構築を考えていくべき。製品を長く使うことをあたりまえの社会にする。選別、整備された製品はリファービッシュ製品として、国の調達品はもとより、困窮世帯支援、学生支援、災害者支援など幅広い需要を想定し、国内外に流通させることはサーキュラーエコノミー、カーボンニュートラルに大いに資すると考える。

意見4 再商品化等料金の透明化及び低減化
 徴収された再商品化等料金の使用の内訳の細分化はもちろんだが、消費者に分かりやすく伝えることが重要である。再商品化等料金を負担している消費者が、図表9で示す再商品化等料金の引き下げられた料金、さらにはRKCが発行する「リサイクル料金一覧表(2022年4月版)」に記載されている費用にもとづき徴収された再商品化等料金の使途について、図表8の内訳では理解が得られるのは難しいと言える。報告書案では、消費者の理解のより一層の促進と透明化を進めると記載されているが、数字を細分化したものの評価が少ないために、より分からなくなった感は否めない。図表8では製造事業者等上位7社の費用内訳が示されているが、これは全体とすべきである。また、家電4品目の各品目ごと、A、Bグループごとなど再商品化等料金の使途の精査をあらゆる角度から実施すべきであった。一方、図表8の費用内訳において、処理にかかった直接の費用と管理にかかった費用がどのくらいだったのかをもっと分かりやすく示して欲しいと思う。図表9が示す収支がマイナスになった理由とその原因が見えてこない。単純に間接費としての製造業者等運営費より、RKCリサイクルセンターの費用が大きいことが起因しているように見える。再商品化等料金の全徴収金額と家電単位、処理直接費用、RKCやシステム運営、処理技術開発などの間接費用など簡略した数値も加えるなど分かりやすくし、また、再商品化等料金の使途の構成比を加えるなど、消費者の負担と使途の実態を伝えるようにすべきである。将来的には、リサイクル料金の消費者負担をなくしても、製造事業者の動脈産業と資源リサイクルの静脈産業の協調による市場経済の育成を図っていくべきである。

【参照サイト】経済産業省 報道発表
【参照サイト】e-Govパブリック・コメント